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【ブログ】海外不動産で節税?

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福岡の山田陽介税理士事務所 代表 山田陽介です。

【「海外不動産で節税」包囲も】という記事が今日の日経新聞に掲載されていました。

昨年12月に発表された平成30年度税制改正大綱では比較的高所得のサラリーマンへの増税が目立ったが、実はある節税策への制限が見送られていました。

それが、海外不動産への投資による節税策です。

海外不動産への投資を通じて発生させた赤字を日本国内の所得と合算して税負担を圧縮するという手法です。

どのように赤字を発生させるのか?

建物への投資した経費は、その年に全額経費になるのではなく、その建物の構造や使用の目的に応じて、法律で何年で均等に経費として処理をするか決められています。この均等に計算して経費として処理することを「減価償却」といい、それにより計算された金額を「減価償却費」といいます。

日本の税法では、法律で新築だとしたらこれくらい使えるだろうという期間を「耐用年数」として定められています。中古で購入した場合には、その経過年数分だけ耐用年数は短くなります。
「耐用年数」を超えた建物については計算上は0年とはならず、元々の耐用年数に応じて、4年から9年程度で計算されることになります。

例 耐用年数20年 取得後25年経過したものを2,000万円で購入。 耐用年数 4年とした場合
  2,000万円÷4年=500万円 500万円ずつ4年間にわたって経費として処理します。

日本の建物の場合は、法律上で定められた耐用年数と、実際の建物の寿命はそう差異はないのが通常です。

しかし、欧米の建物の平均寿命は日本より長いが、一方で耐用年数はこの欧米の建物にも当てはめられる。

そうすると、実際にはあと10年以上使用できる建物に対しての耐用年数が4年程度になり、利益の計算上赤字を計上することができ、これが節税策として富裕層を中心に活用されているという。

欧米では建物の価値が日本より高いので、よりその効果が得られるわけです。

東京の税務署が実態調査した結果、賃料収入<減価償却費という場合が多いことが分かった。

しかし、今回見送られたのには改正には海外不動産の耐用年数を踏まえたものになるため、それなりに時間がかかるためのようです。

ただ、数年後にはこの海外不動産への投資による節税策への制限はされるはずです。
そこで、不動産業界では制限がかかる前の「駆け込み営業」を展開しているようです。

利益の計算上は赤字でしょうが、これは減価償却費が大きいだけでキャッシュフローはプラスになっているので、経営上は全然問題はありません。
この節税策は、耐用年数が短いので投資金額を早期に回収できます。かつ、その短い耐用年数が過ぎたら売却して、次の海外不動産への投資をするというサイクルのようです。

私も、テキサスの工場の近くに住宅いかが?など言われたことが昨年ありました(笑)
いくら土地代が安いといっても、買える金額ではありませんでしたが…。